バウムクーヘンやドーナツ、マフィンなどがお手ごろな価格で楽しめるトップバリュベストプライスの「洋菓子シリーズ」。2025年、このシリーズが大きく生まれ変わりました。店頭でひときわ目を引く“赤帯”のデザイン。そこには、お客さまの暮らしに溶け込みたいと願う情熱と、細部までこだわり抜いた工夫が詰まっています。
【バリュを込めた人】
ブランド&コミュニケーション本部 パッケージ制作部:加藤
「幅広い層にご購入いただいている」という発見から始まった挑戦
仕事や家事の合間、ふとした休息の時間に寄り添うトップバリュベストプライスの「洋菓子シリーズ」。マフィンやドーナツなどのスイーツを中心に40種類以上を展開し、これまで多くのお客さまに親しまれてきました。
2024年、洋菓子シリーズのパッケージ刷新プロジェクトが始動。アートディレクターを担当した加藤にとって、40種類以上の商品を一斉にリニューアルするのは初めての挑戦です。
「(加藤)ラインナップの多さにまず驚きましたが、それ以上に圧倒されたのが、開発担当者の並々ならぬ情熱です。キックオフミーティングでは、開発担当者が自ら商品を1品ずつ手渡してくれて、『味には絶対の自信があります。まずは食べてみてください』と話してくれました。商品一つひとつのこだわりを、前のめりになって語る姿に驚くと同時に、感動したんです」
リニューアル前のパッケージは、30〜50代の女性層をメインターゲットに想定し、女性が好みそうなエレガントな文字やデザインでまとめられていました。しかし、購買データや現場の声を調べると、想像していなかった購買層の存在が明らかになりました。
「(加藤)洋菓子シリーズの中でも商品によって購買層に大きな差がありました。ドーナツの大袋は男性のお客さまの購入が多く、アーモンドボールは10代の学生たちに親しまれていたんです。私が考えていた以上に、幅広い層から求められているシリーズなんだと感じました」
(左):男性のお客さまの購入が多いドーナツ(右):10代の学生の購入が多いアーモンドボール
購買データの分析による発見に加え、前パッケージに対する意見のなかには、「デザインが可愛らしく、男性が手に取りにくい」「商品名が読みづらい」という声がありました。さらに、パッケージの訴求力が弱く「店頭で見落とされがち」という課題も浮き彫りになりました。
「(加藤)開発担当者がこだわり抜いた味を楽しめる商品が、店頭で見落とされてしまう状況は、絶対に変えなければいけないと思いました」
その決意が、加藤の挑戦の原動力となったのです。
お客さまの日常にすっと溶け込む「フラットなデザイン」にしたい
パッケージのリニューアルは、試行錯誤の連続でした。
「(加藤)当初は、メインの女性層を意識し『かわいらしさ』を前面に出したデザインで検討したいと開発側から要望がありましたが、開発担当が妥協なく生みだした商品を男性や若い世代にも届けるために、コンセプトから見直すことを決意しました」
とはいえ、すべての人の好みに合わせようと欲張れば、かえって誰の心にも届かないデザインになってしまう可能性があります。そこで加藤は、まずどんなシーンで洋菓子を食べたくなるかを想像し、仕事や勉強、子育てなどを頑張る人たちの日常に、洋菓子が自然に溶け込む場面を思い描きながら、どのようなパッケージであれば手に取りやすいのかを優先して考えました。
性別や年代という枠にとらわれず、誰もが毎日の生活の中で気軽に手に取れる「日常の自分用スイーツ」として、どのような佇まいが最も自然に溶け込むのかを徹底的に追求したのです。
「(加藤)この洋菓子シリーズを、毎日の小さなご褒美として購入するお客さまを想像していくと、本当に多様な日常の購入シーンが浮かび上がってきました。だからこそ、ターゲットを意識しつつも、人によって好き嫌いが分かれてしまうデザインは避けたかったんです」
どのような人の日常にも自然になじむデザインとは。
考え抜いた末にたどり着いたのは、キャラクターや過剰な装飾を削ぎ落としながら、色や形、文字、余白のバランスによって“小さな特別感”を表現する「フラットなデザイン」でした。
店頭で見つけやすい“赤帯”と、食欲をくすぐる“透け感”を両立させる!
加藤が提案したのは、シンプルでメリハリのある“帯”に商品名を配置したパッケージです。角に丸みのある書体を使うことで、親しみやすさも添えました。サイズの異なる商品でも、“帯”を纏うことで、同じ洋菓子シリーズであることがひと目で分かる売場の統一感が生まれます。
商品の大きさにもばらつきがあるため、基準を定めて、“赤帯”の統一感が生まれるように調整しています。
「(加藤)パッケージは、商品の魅力を正確に伝えるものでなければなりません。お客さまに商品の魅力がきちんと伝わっているか、売場で目に留まる存在感を出せているかを検証するのが、私の役割です。装飾を削ぎ落としたシンプルなデザインだからこそ、細部まで何度も検証を重ねながら、日常のご褒美スイーツとして多くの人が手に取りやすいパッケージを目指しました」
帯の色については、店舗の棚を使ったシミュレーションで、ピンク、茶、紺のほか、赤の中でもさまざまなパターンを検証しました。
「(加藤)多くの店舗では、洋菓子売場の近くに、カラフルで存在感のあるパッケージが並ぶパン売場があります。そうした売場のそばでも埋もれず、お客さまが一瞬で見つけられるデザインにしなければなりません。試作品を棚に何度も並べて検証を重ね、親しみやすさと力強さを兼ね備えた『クリアな赤』にたどり着きました」
また、商品のおいしさを伝える「透け感」にもこだわっています。
「(加藤)中身の洋菓子を見せるために、パッケージの透明な部分を広げると、今度は文字が読みにくくなってしまいます。この矛盾をどうにか突破したくて、インクの濃度までこだわり数パーセント単位で調整しました。読みやすさと見た目の魅力の両立を目指し、製造委託先や印刷会社と一緒に探り当てたんです」
「この“赤帯”なら間違いない」と思ってもらえるように
そして2025年秋、店頭には新しいパッケージが並びます。加藤は祈るような気持ちで販売データを見つめていました。
「(加藤)発売初週の売上はパッケージの力だと信じて、祈るような気持ちでデータを見守っていましたね。数字が大きく伸びて、お客さまに受け入れられていると感じられたときは心底ホッとしました」
店舗から届いた「買いやすくなった」という声や、何よりうれしかったのは、製造委託先の方から「このデザインは売れるね!」という言葉をもらえたことでした。社内では、「もっと新しいスイーツを作ろう!」という前向きな空気が生まれ、悩んだ日々のすべてが報われた気持ちになれたといいます。
「抹茶あんこタルト」は“赤帯”は引き継ぎつつ、抹茶のイメージを強調するために、背景にグリーンを採用。
今では季節限定の商品や新しい洋菓子シリーズの展開にも、この“赤帯”が引き継がれています。
「(加藤)お客さまが店頭でこの赤帯を見かけたときに、『あ、このシリーズおいしいんだよね』と直感してもらえたらうれしい。お客さまの日常に自然に馴染み、いつまでも愛されるデザインを、これからも熱意を持って磨き続けていきます!」
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