【パッケージデザイン特集】7度の修正を経て、たどり着いた「植物性ミルクのアイス」

乳製品を使わず、植物由来の原材料のみで作られたトップバリュの「植物性ミルクのアイス」。ココナッツミルクをベースにした、コクがあり、なめらかな口どけが特長です。この「なめらかさ」「おいしさ」を小さなパッケージでどう直感的に伝えるべきか。「伝わりにくさ」という壁を前に、試行錯誤を繰り返したパッケージ担当の想いを聞きました。
※ココナッツミルク使用 乳製品を使用していません

【バリュを込めた人】

ブランド&コミュニケーション本部パッケージ制作部:亀井

伝えたい魅力が多すぎる!「植物性ミルクのアイス」をどう伝えるか

乳製品を一切使わない代わりに、豆乳やアーモンドミルクなど植物由来のミルクで作られる商品が増え、スーパーやコンビニエンスストアでも気軽に購入できる商品として、お客さまに広く受け入れられています。こうした商品が身近になったことで、アイスの楽しみ方にも新しい選択肢が広がりました。

トップバリュでは2025年11月に「植物性ミルクのアイス」を発売。タイ産の濃厚なココナッツミルクをベースに、同じくタイ産のフルーツなどを組み合わせて、マンゴー、ライチ、ココナッツ、タイティー、バニラの全5種類のフレーバーを展開しています。

スーパーの冷凍ケースでもひときわ目を引く南国風の鮮やかなパッケージ制作を担当したのは、アートディレクターを務める亀井。学生時代から商品パッケージに魅せられ、「将来はパッケージのデザインに関わる仕事がしたい」という目標を掲げています。

念願の部署で手腕を振るう亀井ですが、今回のプロジェクトにはかつてないほどのプレッシャーを感じたといいます。

「(亀井)パッケージデザインの魅力は、機能性とデザイン性の両方を兼ね備えている点です。流通や保存条件などさまざまな制約があるなか、その商品にとって何が最も大事かを考えて形にしていく。そこが難しくもあり、面白いところだと思います

なかでも「植物性ミルクのアイス」は、亀井にとって難易度が高かったと振り返ります。

「(亀井)この商品は、お客さまに伝えたいポイントが本当に多いんです。植物性ミルクやタイ産素材を使っていること。5種類のフレーバーがあり、とてもなめらかな食感であること。そして、ご褒美アイスという特別感。限られたスペースに、それらの要素をどうデザインするのかが課題でした」

商品の良さを伝える、こだわりの“緑”とアイスの“写真”

限られたスペースに、これらすべての要素をどう配置するのか。

「植物性ミルクのアイス」のパッケージ開発が始まったとき、亀井は商品の特長や市場の動きを調べ、デザインの方向性をまとめ上げます。そして、開発担当者やデザイン会社と話し合いながら、商品の魅力が伝わるパッケージを形にしていくことに。

「(亀井)『植物性ミルクのアイス』でメインターゲットになるのは30〜40代の女性。美容・健康を意識したデザインを軸に、価格に見合った高級感と植物性であることが伝わるデザインを意識して進めました」

こうして商品の特長や方向性を整理し、3つのデザイン案を提案。

デザインの初案は、①「植物性であること」を前面に出した案、②「美容・健康への関心が高い層」に響く案、③「タイ産素材を使った南国らしさ」を打ち出す案と、3つの方向性です。初めてのデザイン会議で提案したところ、男性は①を、女性は②を選ぶ声が多く、2方向に分かれる結果に。

何度も修正を重ねるなか、特に亀井がこだわったのはデザインの基調となる「緑」色。ふたのフチには、「植物性であることをイメージさせやすく、高級感も出したかった」(亀井)ことから、少し青みを加えたメタリックな緑色を採用。側面には水彩画のように色をのせ、優しい印象やターゲット層に響くおしゃれ要素も意識しました。

そして、もうひとつのこだわりが、アイスのなめらかさを伝える「写真」です。カップの側面に、アイスをたっぷりすくったスプーンの写真を配置。

「(亀井)一般的に、植物性素材でつくったアイスはシャーベットのようなシャリシャリした食感をイメージされている方が多いなと感じていたんです。この商品は、舌の上でとろけるような、すごくなめらかな食感であることを伝えるため、なめらかさが伝わる中身の写真は絶対に入れたい!と」

フタには光を受けてきらめく緑色と、スプーンですくったアイスの写真が目を引きます。

7度にわたる修正でたどり着いた「わかりやすさ」

方針やデザインの骨格を決めて進めていた6回目のデザイン会議。その場で、「今までにない商品だからこそ、何よりもわかりやすさが大切」と指摘を受けます。

例えば、それまでのデザインでは、「マンゴー味」という商品名に、細く繊細な明朝体を使い、マンゴーを思わせるオレンジ色でまとめていく方針でした。

「(亀井)おしゃれでかわいくて…というパッケージは高く評価されたのですが、店頭では目立ちにくいという指摘を受けました。植物性ミルクを使っていることと、フレーバーの名前が、どうすればお客さまに気づいていただきやすいのか、改めて考えないといけないなと

その会議を経て、「植物性ミルクのアイス」と「フレーバー」の名称は、店頭でも視認性が高い「黒いゴシック体」へと変更する決断が下されます。

商品名は読みやすさ重視。アイスのなめらかさを伝える写真も目立つ位置に。

完成までに行われたデザイン修正は計7回。亀井は商品の特長がひと目で伝わり、売場でも目に留まるデザインを目指して会議で意見を交わしながら、内容を整理していきました。

「(亀井)とにかくターゲットをブレさせないように。30~40代女性で美容、健康に関心が高い人を意識して、おしゃれやかわいさだけでなく植物性ミルクを使った商品だと伝わるデザインにする。その原点を改めて確認しながら、デザインを見直しました」

発売後、上司から言われた「幅広い人に届くデザインになったね」という言葉が印象に残っています。

「(亀井)パッケージは商品の第一印象を決める存在。そこから手に取っていただき、実際に食べて『おいしい』と感じたら、『また買いたい』と思っていただけるはず。お客さまと商品の出合いの場を作れることが、パッケージデザインの醍醐味です

パッケージデザインの入稿から約2カ月後にトップバリュ「植物性ミルクのアイス」が発売。発売直後はフレーバーによって店頭で欠品が発生するほどの反響が。

「(亀井)『デザインがかわいい』と言っていただけるのはもちろんうれしいのですが、やはり手掛けた商品の評判がいいことがいちばんうれしいです。今後フレーバーが増えるなど、新しい展開があったら、もっと『おいしそう!』と感じてもらえる表現に挑戦してみたい!」

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