効率は度外視!業界初に挑んだオーガニックレモン果汁

【バリュを込めた人】

商品開発本部 グロサリー商品部:菅原

トップバリュとしてオーガニック商品開発を強化をするようになったのが2014年。その当時に発売され、いまや年間で約150万本を売り上げる人気商品となったトップバリュ グリーンアイオーガニック レモン果汁(以下、オーガニックレモン果汁)。そこには良いものを作ることはもちろん、商品の良さを知ってもらう努力が生んだバリュがありました。
※2023年の200ml、500mlの累計販売数。

オーガニック商品開発を強化し始めた当時の決意、私たちがオーガニック食品をもっと身近にする

「オーガニック食品は国内に需要がない」は本当?

トップバリュではオーガニックレモン果汁をはじめ、多数のオーガニック食品を販売しています。

ラインナップは牛乳、卵、缶詰、調味料などさまざま

オーガニックの商品開発が開始された当時、海外では市場が拡大していましたが、日本国内では限られた需要しかない状態。
その理由として大きかったのが価格の高さ。専門店での取り扱いが主流なことも相まって、オーガニック食品がニッチになっているとトップバリュは考えていました。
“もっと手ごろな値段で、いつものスーパーで手に入るならば、オーガニック食品を買いたいというお客さまはいるはず”。オーガニック食品をより日常で使えるものにするため、商品開発がスタートしたのです。

爽やかなレモン果汁のはずが、薬品臭?

レモン果汁にはPB商品がないからこそ、私たちがまず作ろう

調味料の商品開発を担当している菅原。いざトップバリュもオーガニック商品開発を強化していこうとなったとき、レモン果汁のPB市場がないことから、トップバリュから出そうと決意しました。
「(菅原)国産レモンで作るか、オーガニックレモンで作るか迷っていたタイミングでしたが、これを機にオーガニックレモンを使ってみようと決心したんです」

レモン果汁を片っ端から試飲。でもおいしいと思えるものがない!

レモン果汁に対して多いお客さまの声が「薬品臭がする」という香りに対するご意見。
「(菅原)まずオーガニックレモン果汁をたくさん試飲しましたが、どれも薬品っぽい風味がしてあまりおいしくなかったですね」

オーガニックレモンは農薬や防腐剤を使っていないのに薬品臭?と思ってしまいますが、レモンの皮の油分には香り成分が入っており、この油分が多いと薬品臭のように感じてしまうことが成分調査でわかりました。

また、ストレート果汁か濃縮還元かでも味に大きな違いが。ストレート果汁は瓶に詰める際、瞬間的に加熱殺菌をするものの、ほぼ搾った果汁そのままなのでレモン本来の香りが楽しめます。一方で濃縮還元は、果汁を煮詰めて4~5倍に濃縮したものを水で希釈しているため、保存性が高いですが香りが落ちるため、香料を加えており人工的な風味に。

多くの試飲をして、菅原の中で「薬品臭がしない、レモンの風味が存分に味わえるレモン果汁を作るためには、“オーガニックレモンのストレート果汁”しかない」と商品の方針が決定しました。

お客さまが買い求めやすいオーガニックレモンのストレート果汁を市場に出す

菅原の熱意に製造委託先も本気になった

商品開発をするにあたっては、直輸入品を販売するか原料を仕入れて国内製造するかの二択になりますが、薬品臭の原因となる油分を取り除く工程を入れる必要があると感じていたため、国内製造することに決めました

オーガニック食品は原材料だけでなく、製造する工場も有機JAS認証を取得していないと製造できません。柑橘果汁の知見があり、加工技術にも優れている製造委託先へ相談しましたが、有機JAS認証は取得していない。そこで「有機JAS認証をとるところから一緒につくりましょう!」と菅原が相談。その熱意に製造委託先も共感してくださり、開発を進めることができました。
「(菅原)製造委託先の社長には、今でもあの時は大変だったと言われます(笑)」

問題の薬品臭、どうやって取り除く?

原料は本場イタリアのシチリア島から取り寄せたフェミネロ種のストレート果汁。

すっきりした酸味の中にほんのり甘みがあるのが特徴

そのままだとレモンにもともと含まれる薬品臭が残ってしまうため「ろ布」と呼ばれる目の細かい布でろ過することで、臭いの原因となる油分を適度に取り除き、レモンの香りはそのままに薬品臭がない果汁にすることに成功!現在では遠心分離機を使うことで、より大量の果汁を一気に加工できるようになりました。
「(菅原)原料のレモン果汁から皮の油分を取り除く処理をすると、できあがる量は80%台になり、ぶっちゃけ製造効率は良くありません。それでも、おいしいものを作りたかった」

ろ過に関しても、毎回同じ匙加減で行えば同じ味になるとは限りません。レモンはその年によって出来栄えが変わり、味も異なってくるためです。シチリアの農家さんにその年の出来栄えを聞き、味の特徴に合わせて一定のクオリティになるように国内で微調整しながら製造しています。
「(菅原)“イタリア直輸入品”と聞くと良いものに思えますが、直輸入ではなく日本で製造加工したからこそ、いつでもおいしいレモン果汁をお届けできていると思います」

良いものができた!と思ったのに、ヤバイ全然売れない…

売れなさすぎて原料が余るほど。それでもこれはイケるはず

菅原の自信作であったものの、発売当初の売り上げは芳しくありませんでした。
「(菅原)モノは良いという確信がありましたから、まずは2年頑張ってみようと」

まずはイオン系列のスーパーで商品を取り扱うバイヤーのみなさんに商品を知っていただくための働きかけを開始!上司と一緒に成功事例の案内をしたり、他社品との飲み比べの試飲会を開催したり、良さを知っていただく活動を地道に継続。販売をする事業会社の担当者に積極的な協力をいただけたことも、今の規模拡大の礎になり、徐々に店舗での取り扱いも増加しました。
「(菅原)良い商品ができても、お客さまの目に触れないと自己満足で終わってしまいます。商品の価値を知ってもらう努力はかかせません」

発売時の価格は気合と根性!

この商品は品質もさることながら、200ml 本体価格298円(税込み価格321.84円)、500ml 本体価格628円(税込み価格678.24円) (※2025年1月現在のイオングループ標準小売価格)という価格も大きな魅力。しかし、発売当初はレモン果汁のオーガニック商品自体がはじめての取り組みであり、どれくらい売れるのかも分からない状態だったため
「(菅原)お客さまの身になって自分が買うとしたら、で決めました(笑)」

製造委託先のレモン果汁原料の仕入高は、飲料メーカーにひけを取らないほどの規模になり、当初1社だった原料メーカーもいまでは数社に増えました。イオングループのスケールメリットを生かすことで手に取りやすい価格を維持し、オーガニック商品をはじめたときに掲げた「オーガニックをもっと身近で手軽なものへ」を実現し続けています。

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