ジェーカップ復活プロジェクト!数量限定の商品開発にささげた1年間
1974年に物価高騰のあおりを受けて他社メーカーではカップラーメンの値上げが起きる中、トップバリュの「ジェーカップ」は、それまで当たり前だったフォークを付属しない代わりに価格を抑えることで、85円という低価格を実現しました。「良い商品をより安く提供する」というイオンの姿勢を体現した象徴的な商品が、発売から50年という記念のタイミングに限定商品として復活!そこには納得のいくまでこだわり続けたから生まれたバリュがありました。
【バリュを込めた人】
商品開発本部 グロサリー担当:松前
50周年の今こそ、トップバリュの原点であるジェーカップを再び作る!
2024年にトップバリュは発売から50年を迎えます。その節目に土谷社長直々のオーダーのもと「トップバリュ50周年を記念する特別な商品を作る」というジェーカップ復活プロジェクトが2023年に始動しました。そこには「ジェーカップは“お客さま視点”の商品づくりの原点である」という社長の想いが。一方で商品開発を任された松前は
「(松前)10年前と比べすべてのコストが大幅に上がっている環境下で、お客さまに価格でも品質でも満足いただける商品開発をすることは極めて難しいと思っていました」
今までにないM・Z世代向けの健康ヌードル!これはイケると思ったのに…
松前がはじめに目を付けたのはM・Z世代でした。2024年度のトップバリュの方針には、50周年を迎え、新しいM・Z世代をターゲットにすることや、ヘルス&ウェルネスにも力を入れていくことが掲げられていたため、M・Z世代の女性や健康をコンセプトにした新しいカップ麺というアイデアにたどり着いたのです。「これはイケる」と手ごたえを感じ2023年11月に社長へ提案したところ、なんとNGとの回答が。
「(松前)他社にないカップ麺という自信があっただけに、社長の判断はショックで3日間ぐらい眠れませんでした」
NG判断ではありましたが、最終的に許可を得てM・Z世代向けの商品開発は別に進め、2024年6月に3商品を発売。しかし売れ行きは芳しくなく
「(松前)この結果から、社長の判断は正しかったんだなと思う反面、やはりジェーカップをやり直して良かったという気持ちでした」
行き詰った中で気づいた「トップバリュにはタスマニアビーフと純輝鶏(じゅんきけい)がある!」
2023年11月に社長への提案が失敗に終わったあと、新しいアイデアはなかなか思いつかず、松前はもう一度原点に立ち返ろうと2024年度のトップバリュの方針を振り返ることに。
そこで目に留まったのが、トップバリュが直営牧場で育てている「タスマニビーフ」が誕生50周年、トップバリュが開発したオリジナルの鶏肉「純輝鶏」が誕生30周年を迎えるタイミングであること。
「(松前)トップバリュにしかない食材を使うことで、50周年にふさわしいジェーカップが作れるのではと思ったんです」
さっそく準備を進め、2024年1月社長にタスマニアビーフと純輝鶏を使うプランを再提案。ようやくコンセプトのOKが!
数量限定の商品だからこそ、この商品でしか食べられない最初で最後の味を
いよいよ、タスマニアビーフのスープを使った「ビーフヌードルしお味」、純輝鶏のスープを使った「チキンヌードルしょうゆ味」の商品開発がスタート。かやくには両方ともタスマニアビーフのダイス肉を使うことに決定!
贅沢にもタスマニアビーフをかやくに
ビーフヌードル、チキンヌードル共に、かやくにはタスマニビーフのダイス肉を使用しています。部位もブリスケットポイント(前脚の近く、胸部にあたる部分の肉)を使っているため、甘みはあるがあっさりしており、ジューシーで弾力があります。
「(松前)ビーフのダイス肉を使うことはとても珍しいですね。この弾力が自慢です」
ビーフヌードルの味はトップバリュの完全オリジナル
新商品開発は自社で使用実績のある既存の原料を中心に組み合わせて作られますが、ジェーカップの場合はタスマニアビーフと純輝鶏を原料に使うため、原料をどう加工してスープやかやくにしていくのかが難関でした。
苦戦したのはビーフヌードルのスープ。ビーフヌードルは海外が主流となっており、参考のために海外(アメリカ・ハンガリー・中国)のビーフヌードルを取り寄せて試食。しかし日本のカップ麺にあるスープの繊細なうまみが感じられず…。そこで、完全にオリジナルのビーフヌードルの味を作ろうと松前の中で決心がつきます。日本人好みのビーフヌードルの味を探って、鳥取の牛骨ラーメンなど、日本の牛テールラーメンの味を確認しました。
「(松前)タスマニビーフを知り尽くしている畜産部からテール部位(しっぽ)をすすめられてそれを活用しました」
テールを使うことでまろやかなうまみが生まれ、鶏・魚介のうまみを合わせることで、上品な味に仕上げることに成功したのです。気づけばスープができあがるまでに3ヵ月が経過していました。
使用する鶏は純輝鶏のみ
チキンヌードルのスープは、純輝鶏の鶏ガラを贅沢に使っています。他の鶏を使わない混じりけのない純輝鶏スープに、ポークなどの動物性のエキス、胡椒やにんにくで味を調えたスープは、繊細で上品な味に。
ようやく見えたトップバリュだからつくれたカップ麺
スープとからむ麺は、2023年に大幅に改良したトップバリュオリジナルの麺。たまねぎなどのうまみが練りこんであり、表面の滑らかさとプリプリした食感はそのままに、ロースト感も楽しめます。
かやく、スープ、麺、すべてがひとつになり、ようやくジェーカップが形になりました。
「(松前)この商品でしか食べられない、最初で最後の味です!」
すべての荷がおりた「ここまでよくやってくれた」の言葉
開発をはじめて約1年の時を経て、ようやく50周年記念のジェーカップが誕生しました。数量限定各70万食。およそ1か月強で販売終了する見込みの商品。
ここには50年間トップバリュが続けてきた「良い商品をより安く提供する」という使命、「安全・安心でおいしいものを提供する」という熱意、そしてなにより「50年間ありがとうございました」という感謝がぎゅっと詰め込まれている。試食の席では、土谷社長から「おいしい」「ここまでよくやってくれた」との言葉も。
「(松前)難題がひとつ解消できて少し肩の荷がとれましたが、商品開発担当は次から次へと新しい案件があるので、翌日には次の商品に取り掛かっていました」
トップバリュは50年前のジェーカップの開発の際に掲げた「良い商品をより安く提供する」という想いを引き継ぎながら、さらにお客さまに喜んでいただける商品を作り続けています。
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グリーンアイタスマニアビーフからスープとかやくを作りました。
純輝鶏のだしのうまみに胡椒をきかせたしょうゆ味のスープです。
※社員の業務内容・所属部署は取材当時のものです。
※料理写真はイメージです。
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