230㎏のきのこが、毎日やむなく捨てられている!?
便利さはもちろん、おいしさも追求して生まれた下処理済み野菜「うまみとじこめ野菜」。新たなラインナップが9月に発売されたが、そこには「もったいない」の想いが生み出したバリュがありました。
【バリュを込めた人】
商品開発本部 農産商品部:山下
今の水煮野菜のままじゃダメだ。もっと根本的に変えないと!
きっかけは、お客さまからの率直な意見「これ、おいしくない」
店頭に並ぶカット済み下茹で済みの水煮野菜。便利な商品ですがお客さまからは酸味を感じるなど「おいしくない」という正直な意見も届いていました。
「(山下)よりおいしいもの、価格も価値もちゃんと満足いただけるものを作ろうと思いました」
そしてはじまったのが、下処理の手間を省きながらも、野菜本来のうまみがしっかり味わえる野菜。その名も“うまみとじこめ野菜”の開発!現状の水煮野菜をどうにか変えていくために、各野菜の成分や特性に対して〇〇な加熱をしたほうがいいのでは?前処理の段階で〇〇をしたらどうか?など、製造委託先と何度も議論・試作を繰り返しました。
うまみを逃さないために、家庭で調理するような手間暇を
今までの製造工程で流れ出てしまっていた野菜のうまみをどうとじ込めるのか、かつ使い勝手や保存性も保つのか、工程を一つひとつ見直す必要がありました。まずは、アク抜きをそれまでの下茹でからじっくり水に浸ける方法に大きく変更。
「(山下)時間も手間もかかりますが、ゆで汁に野菜のうまみを逃さないためには必要な工程でした!」
そして、防腐添加物を使用せずに保存性を保てないか試行錯誤を繰り返した。
「(山下)防腐添加物を使えば日持ちも色味もよく保てますが、野菜のうまみが流れ出る原因になっていたので変えなければと」
試作を重ね、ようやくアクを抜いた野菜を袋に密閉して加熱殺菌をするという方法にたどり着き、防腐添加物に浸さずに150日も保存が可能に!
パックの中をよく見ると野菜と一緒に水分が入っているが、これは加熱によって野菜自身から出たスープ!このひとパックにぎゅっとうまみをとじ込めることに成功したのです。
「(山下)お客さまからは、“ちゃんと野菜の香りがする” “もっといろいろな種類を発売してほしい” “家族が多いので大容量も作ってほしい”など、たくさんの反響をいただきました!」
えっ!これ全部捨てちゃうんですか!?
“使い道がない”は思い込みかも
“うまみとじこめ野菜”のラインナップを増やしていく中で、山下は製造委託先のきのこメーカーから相談をもちかけられた。「カットエリンギを作る際に余分な部分をカットするが、カットの際に端材が多く出てもったいない。自分たちには端材を加工する技術がないので、何かいい方法はないだろうか」とのこと。エリンギの端材は1日で230㎏も出るといい、現状は廃棄せざるをえないという。
「(山下)端材の味はスーパーで売っているエリンギと変わらないのに捨てるのはすごくもったいない。ちょうど“うまみとじこめ野菜”できのこのラインナップを増やしたいと思っていたところだったので、この端材を使いました」
このような例はほかにもある。とある野菜の加工工場に行った際、にんじん、ごぼう、たけのこなどの端材が積まれており話を聞くと、活用方法がないので捨てているという。味はまったく遜色ない野菜たち。山下は この野菜を使わせてほしいと打診した。
「(山下)捨てるしかないと思われている食材にも、活用方法はあると思います。この端材を使えないですか?とお話をしたら驚かれていましたね」
廃棄されているのは端材だけではない。里芋は種芋から出た芽が親里芋となり、親里芋の先にできた子芋や孫芋がスーパーで「里芋」として売られていく。長らく親里芋は硬く食用には不向きといわれ廃棄されていた。
「(山下)産地に行った際、ボーリング玉くらいの巨大な芋があって(笑)、それが親里芋だと知りました。硬くて食べられないと言われていた親里芋も、地元では工夫して食べていると教えていただき、何かに使えるのではと思いました」
このように加工現場や産地で見つけたもったいない食材をうまみとじこめ野菜の製法で加工し「きのこ4種ミックス」「たけのこ・ごぼう・にんじんミックス」「親芋(さといも)」として商品化されていきました。
食材を無駄にしない姿勢を示していると、情報も集まってくる
原料の調達からお客さまの手に届くまで、すべてのステップを見直していく
トップバリュでは2025年までに食品廃棄物を半減(2015年度比)することを目指しています。エリンギや野菜の端材、廃棄されていた親里芋のように、要らないと思われていた食材をもう一度見直すなど、原料の調達、商品の製造工程、物流、お客さまの手に届くまでに無駄が発生していないか常にアンテナを張っています。それだけでなく、
「(山下)製造委託先もトップバリュのミッションを理解してくれているので、エリンギのように向こうから“余っている食材がある“と話が来ることもあるし、産地や原料を仕入れているメーカーさんの状況を教えてくださったり、ムダをなくすための情報が集まってくるんです」
製造委託先とお互いの目指すべき姿を共有できているからこそ、知識と技術を高め合えている関係性が生まれています。
トップバリュ商品はパッケージなどでも環境配慮の取り組みを進めており、2025年までに展開する商品のすべてを、Reduce(リデュース=削減化)、Reuse(リユース=再使用化)、Recycle(リサイクル=再資源化)のいずれか、あるいは複数に対応して開発を行った環境配慮3R商品に切り替えていきます。
このような取り組みは環境への配慮はもちろんですが、原材料費が高騰している中、サプライチェーン上の無駄を省くことで、お客さまに価値あるものをお値打ち価格でお届けすることにもつながっています。
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